未来人のための・宇宙の神学

猫の神学は終了しました

猿田彦の神

子供のころ私が昇殿して接見を終えると、皇統簒奪に関するナレーションが流れてきたのだが、その説明につづいて「猿の呪い」に関する説明が映像と暗示によってもたらされて来た。

ある光景が映し出されようとしていた。
それは屋外の、しめ縄を張った結界のようであり、八人ほどの白装束の集団が奇声と驚きの声をあげていたのである。

 


中央の一人は憑りつかれているのだろうか、手足を叩きつけながら苦しそうに地面を転げ回っている。
やがて誰かが「これは猿の呪いじゃー」と叫んだ。
「猿の呪いは(陰陽道)十二支の(呪詛)中でも最も強く恐ろしい呪いではないか・・・、誰が何故こんなことを・・・」

つづいて祭壇をこしらえた山頂らしきところで呪術を行っている十数名の姿が浮かび上がり、この行が蘇我入鹿暗殺に対する遺族集団からの呪詛行であることが察知された。

さらに霊視は切り替わり、この巫女集団は日本神界の王に対して、この禍を除くために呪詛返しを行うよう願い出たのである。
だが、猿田彦の神はこれを許されなかった。

この決定に驚いたのは巫女集団だけではなく、日本神界の神々も驚嘆し、翻意されるように高位の神が諫められもした様である。
しかし猿田彦の神は頑としてすべての訴えを退けられてしまった。

この神は次のように言われる。
「このような呪いが掛けられたのはこの呪いを受けるだけの因果を作って来たからではないか。いまこの呪いを解いたとしてもそれはカルマの先送りでしかない。私は私の代にて日本民族のカルマを滅尽させるつもりだ。」

猿田彦の神は「猿の呪い」を乗り越えてゆけと説かれたのである。それがどれほど恐ろしいものであれ、どれほど苦痛に満ちたものであれ、乗り越えよと訴えらえた・・・。

こうした臣下や神々とのやり取りが終わった後のことなのだろう、おそらくくだんの巫女たちの想念が伝達されてきた。

「われらが神、猿田彦の神は・・・、何らわれらの願いを聞き入れてくださる神ではなかった・・・。」
そうつぶやいていたのは七十前後の老女で、その表情からは悔しみの心と未来へのおののきが見て取れていた。